私はS&P500投資家ですが、そんな私が先日書いた不動産投資の記事『不動産投資は時間が味方をする負けにくいビジネス~残債が減り どんどん負けにくくなる』に思いのほか反響がありました。
10年後までだけではなく、完済(30年後)までのシミュレーションも教えて下さい。という声もありましたので、30年後といわず、40年後までのシミュレーションを「続編」として書いてゆきます。
それでは、私が実際に買って現在運営中の新築木造アパートでシミュレーションしてゆきます。
買った新築木造アパートのスペック
まずはおさらい、買った新築木造アパートのスペックです。
詳細なスペックは前に書いた『この記事』を参照していただきたいのですが、簡単に言うと
【物件スペック】
木造新築3階建て6室アパート
諸経費込み総額7200万円(土地2400・上物4800)
総事業費利回り7.08%(家賃年収510万円)
という物件です。
借入条件について詳細は『冒頭でも紹介した記事』を参照していただきたいのですが、簡単には
【借入条件】
自己資金2割(1440万円)
借入金額5760万円、金利1.5%、融資期間30年
年間返済額は240万円
という条件です。
10年間運用したらどうなる?
こちらもおさらいですが、ちょっとシビアに厳しめに考えて
・家賃年収は500万円とする(ホントは510万円のところ計算簡易化で)
・家賃下落率は1%(毎年5万減る)とする
・その他経費は家賃収入の20%(100万円)とする
・その他経費は家賃減額に合わせての減額はせず100万円のままで計算
この条件で10年保有したら下表のとおり、毎年手残りがあり、かつ借金も減ってゆきます。
年数 | 家賃収入 | 銀行返済 | その他経費 | 手残り(CF) | 累計CF(税引前) | 残債(借金額) |
---|
1年目 | 500万円 | 240万円 | 100万円 | 160万円 | 160万円 | 5607万円 |
2年目 | 495万円 | 240万円 | 100万円 | 155万円 | 315万円 | 5452万円 |
3年目 | 490万円 | 240万円 | 100万円 | 150万円 | 465万円 | 5294万円 |
4年目 | 485万円 | 240万円 | 100万円 | 145万円 | 610万円 | 5133万円 |
5年目 | 480万円 | 240万円 | 100万円 | 140万円 | 750万円 | 4970万円 |
6年目 | 475万円 | 240万円 | 100万円 | 135万円 | 885万円 | 4806万円 |
7年目 | 470万円 | 240万円 | 100万円 | 130万円 | 1015万円 | 4638万円 |
8年目 | 465万円 | 240万円 | 100万円 | 125万円 | 1140万円 | 4468万円 |
9年目 | 460万円 | 240万円 | 100万円 | 120万円 | 1260万円 | 4295万円 |
10年目 | 455万円 | 240万円 | 100万円 | 115万円 | 1375万円 | 4120万円 |
大阪の築10年の木造アパートは、表面利回り9%(5055万円)でもすぐ売れるだろうが、表面利回り10%(4550万円)で売っても、負けないよ!という話でした。
ここまでが前回の記事のおさらいです。
次の項からが本題です、10年後で売却せず、そのまま20年、30年、40年と持ち続けたら最終手残りはどうなるでしょうか。
20年間運用したらどうなる?
10年後でも売却せずに、20年後まで保有したとします。
すると、家賃収入とキャッシュフローと残債は下表のように変わります。
年数 | 家賃収入 | 銀行返済 | その他経費 | 手残り(CF) | 累計CF(税引前) | 残債(借金額) |
---|
11年目 | 450万円 | 240万円 | 100万円 | 110万円 | 1485万円 | 3942万円 |
12年目 | 445万円 | 240万円 | 100万円 | 105万円 | 1590万円 | 3761万円 |
13年目 | 440万円 | 240万円 | 100万円 | 100万円 | 1690万円 | 3578万円 |
14年目 | 435万円 | 240万円 | 100万円 | 95万円 | 1785万円 | 3392万円 |
15年目 | 430万円 | 240万円 | 100万円 | 90万円 | 1875万円 | 3203万円 |
16年目 | 425万円 | 240万円 | 100万円 | 85万円 | 1870万円 | 3011万円 |
17年目 | 420万円 | 240万円 | 100万円 | 80万円 | 1950万円 | 2816万円 |
18年目 | 415万円 | 240万円 | 100万円 | 75万円 | 2025万円 | 2618万円 |
19年目 | 410万円 | 240万円 | 100万円 | 70万円 | 2095万円 | 2418万円 |
20年目 | 405万円 | 240万円 | 100万円 | 65万円 | 2160万円 | 2214万円 |
耐用年数切れ間近である、築20年の木造アパートはいくらで売れるでしょうか?今の市況のままなら、それなりの値段で売れるでしょうが、まず間違いなく売れるだろう表面利回り12%なら3375万円です、投げ売り価格とも言える表面15%で売ると2700万円です。
15%で売った場合を考えます。
・2700万円で売却し、90万円(3%+α)の売却手数料を支払い、2610万円手に入れました。
・累計キャッシュフローは2160万円たまっています。
・最初に1440万円負担しています。
・残債2214万円を銀行に返済しないといけません。
・この11~20年目の間に200万円の大規模改修を行ったとします。
これらを計算すると、この物件は20年後表面利回り15%でたたき売っても、916万円残っています。
2610+2160-1440-2214-200=916
負けませんねぇ。
ちゃんとした物件を買えば不動産投資は負けるのが難しいビジネスです。
30年間運用したらどうなる?
ローン完済の30年後まで保有したとします。
この場合、家賃収入とキャッシュフローと残債はどうなってゆくでしょうか。下表にまとめました。
年数 | 家賃収入 | 銀行返済 | その他経費 | 手残り(CF) | 累計CF(税引前) | 残債(借金額) |
---|
21年目 | 400万円 | 240万円 | 100万円 | 60万円 | 2220万円 | 2007万円 |
22年目 | 395万円 | 240万円 | 100万円 | 55万円 | 2275万円 | 1797万円 |
23年目 | 390万円 | 240万円 | 100万円 | 50万円 | 2325万円 | 1584万円 |
24年目 | 385万円 | 240万円 | 100万円 | 45万円 | 2370万円 | 1368万円 |
25年目 | 380万円 | 240万円 | 100万円 | 40万円 | 2410万円 | 1149万円 |
26年目 | 375万円 | 240万円 | 100万円 | 35万円 | 2445万円 | 926万円 |
27年目 | 370万円 | 240万円 | 100万円 | 30万円 | 2475万円 | 700万円 |
28年目 | 365万円 | 240万円 | 100万円 | 25万円 | 2500万円 | 470万円 |
29年目 | 360万円 | 240万円 | 100万円 | 20万円 | 2520万円 | 237万円 |
30年目 | 355万円 | 240万円 | 100万円 | 15万円 | 2535万円 | 0円 |
耐用年数もとっくに切れた木造アパートはいくらで売れるでしょうか?
劣化対策等級3を取得している物件なので、30年経っていても表面利回り15%(2366万円)でも余裕で売れるでしょう。
いや、この物件は土地値2400万円です。通常 物件価格は土地値以下にはなりませんので、2400万円では売れるはずです。
いやいや、より厳しく考えて、そもそも購入時の土地値2400万円は2割程利益が乗せられていると考えましょう。イコール土地値の2000万円(表面利回り17.75%)の大安売りで売却したとしましょう。
・2000万円で売却し、70万円(3%+α)の売却手数料を支払い、1930万円手に入れました。
・累計キャッシュフローは2535万円たまっています。
・最初に1440万円負担しています。
・残債はゼロです。めでたく完済しました。
・大規模改修をこれまで計2回行い400万円支払ったとしましょう。
計算すると、2625万円が残っています。
1930+2535-1440-0-400=2625
負けていませんねー。各所でこんなに不利な条件でシミュレーションしたのに負けていません。
土地値(表面利回り17.75%)でたたき売っているのに負けていません。
・・・そして
ローン返済が終わった物件は化けます。
面白いのはここからです。
次の項で 40年後まで保有し続けた場合をみてゆきましょう。
40年間運用したらどうなる?
ローンを返済し終わった物件は化けます。
銀行への返済がなくなるのでキャッシュフローが復活するからです。
年数 | 家賃収入 | 銀行返済 | その他経費 | 手残り(CF) | 累計CF(税引前) | 残債(借金額) |
---|
31年目 | 350万円 | 0円 | 100万円 | 250万円 | 2785万円 | 0円 |
32年目 | 345万円 | 0円 | 100万円 | 245万円 | 3030万円 | 0円 |
33年目 | 340万円 | 0円 | 100万円 | 240万円 | 3270万円 | 0円 |
34年目 | 335万円 | 0円 | 100万円 | 235万円 | 3505万円 | 0円 |
35年目 | 330万円 | 0円 | 100万円 | 230万円 | 3735万円 | 0円 |
36年目 | 325万円 | 0円 | 100万円 | 225万円 | 3960万円 | 0円 |
37年目 | 320万円 | 0円 | 100万円 | 220万円 | 4180万円 | 0円 |
38年目 | 315万円 | 0円 | 100万円 | 215万円 | 4395万円 | 0円 |
39年目 | 310万円 | 0円 | 100万円 | 210万円 | 4605万円 | 0円 |
40年目 | 305万円 | 0円 | 100万円 | 205万円 | 4810万円 | 0円 |
30年目は15万円にまで落ち込んでいたキャッシュフローが、200万円台になって復活しています。
築40年になっていても、良い場所を買っていれば、土地値では売れます。
築30年の時と同じく、2000万円で売却したとしましょう。
・2000万円で売却し、70万円(3%+α)の売却手数料を支払い、1930万円手に入れました。
・累計キャッシュフローは4810万円たまっています。
・最初に1440万円負担しています。
・残債はゼロです。めでたく完済しました。
・大規模改修をこれまで計4回行い800万円支払ったとしましょう。
計算すると、4500万円が残っています。
1930+4810-1440-0-800=4500
負けていませんね。
40年間も運営するのですから、何があるかわかりません。
もしも途中1000万円吹き飛ぶような、大トラブルがあったと条件に追加したとしてもまだ3500万円残ります。
はい。
『まずはアパート一棟買いなさい!』
石原先生!!先生の言う通り、まずアパート1棟買ってよかったです。
まだまだ買おうと思います。
ありがとう石原先生
最後に
当記事は、あくまでもシミュレーションです。
しかも、税引き前キャッシュフローでのシミュレーションです。
税金の事、法定耐用年数の事、その他もろもろ無視しているものはたくさんあります。
しかし、てっとり早く理解するにはこのシミュレーションで良いです。
【注意】
「SPオヤジが、7%の新築アパートでも儲かるって言ってたから、僕も買おう。あ、僕の街には8%の新築アパートが売ってたよ、SPオヤジのやつより1%も収益高いから、絶対もうかるっしょ!
しかも、そこの不動産屋が金融機関も紹介してくれて、SPオヤジより長い35年のローンが組めたよ。金利は4.0%みたいだけど、SPオヤジのより良い物件だから儲かるっしょ!」
などという人が現れないことを願います。
不動産投資はS&P500投資以上によ~く勉強してから始めて下さいね!
というか安易に始めないで下さい。
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