もしも「今」余裕資金が100万円あったら。
手元にある、その余裕資金は一括投資すべきか、時間分散投資をして購入時期を分散させるべきか
はたまた、半分くらいは現金で持っておくべきか、
あるいは、全額現金で持っておいて暴落を待つべきか、という問題はいつもインデックス投資を始めたばかりの個人投資家を悩ませます。
株式相場が不安定な「今」
はたしてどうするべきなのでしょうか?
先日の当ブログ記事にこのようなコメントをいただきました。
いつも楽しく拝見しています。自分も積み立てニーサでSP500を少しずつ多く保有していこうと思ってます。
投資信託を最近やり始めたのでアドバイスをお願いしたいのですが、貯金が100万あり投資信託を買いたいと思うんですが買い方で悩んでます。基本右肩上がりと考えた場合100万円を一括で購入するのと毎月積み立てを行うのとどちらがいいでしょうか(月3万積み立て)?今後100万以上動かせないので毎月積み立てても100万に達したらそこで終了となります。
今後の動きもわからないので一括で購入できない弱腰です。
変な質問ですがよろしくお願いします
Contents
結論から
「一括投資」か「分散投資(積立投資)」のどちらかを選ぶのなら
一括投資です。
そして、貿易摩擦による株価下落ダメージを減らしたいなら「購入タイミング」を変えて対策を取るのではなく、
現金比率(低リスク資産比率)を変えて対策を取りましょう。
「貿易摩擦で今後の動きもわからない」については
私もわかりませ~んw
いつ暴落が来ても大丈夫なように
そして、来なくても大丈夫なようにするしかありません。
早い話がこういう事です。
米中貿易摩擦による株価下落が怖いから一括投資をしないで時間分散をする(毎月ちょっとずつ買ってゆく)
というのは投資を始めたばかりの人にありがちな間違い。
私も最初はそう間違えていました。
今は、株価下落への対策は現金比率等を高める事で行うべきと考えています。— SPオヤジ@S&P500投資家 (@SPoyaji) 2019年5月22日
以下、この理由を書いてゆきますが
悩まれている内容を分解した上で、私なりの考えを示しているので、かなり長くなっています。
覚悟して読んで下さい。
一括投資の特徴
購入後に株価がしばらく上がり続けた場合、そのメリットを目一杯受けられます。
(このタイミングで一括投資しておいてよかった!と。)
逆に、購入後に株価がしばらく下がり続けた場合は、そのデメリットを目一杯くらいます。
(うわ~、こんなタイミングで一括投資するんじゃなかった!と。)
分散投資(積立投資)の特徴
初回の購入後に株価がしばらく下がり続けた場合でも、そのデメリットを分散させることができます。
(一括投資してなくてよかった)
逆に、初回の購入後に株価がしばらく上がり続けた場合は、そのメリットも分散されてしまいます。
(一括投資しておけばよかった)
一括投資と分割投資で変わらないもの
一括投資でも分割投資でも「損する可能性」と「儲かる可能性」の比率は同じになります。
以前の記事にも書いた内容ですが、下記①~④の例を考えて下さい。
①購入後すぐに株価下落した場合
1月に120万円一括投資して2月までに株価が暴落して半分になれば評価額は60万円になります。対して、120万円を12ヶ月に分散して、1月に10万円投資した場合は評価額は5万円ダウンの115万円で済みます。
②購入後すぐに株価上昇した場合
1月に120万円一括投資して2月に株価が倍になれば評価額は240万円になります。対して、120万円を12ヶ月に分散して、1月に10万円投資した場合は評価額は10万円アップの130万円にしかなりません。
一括投資は①では60万円損したけど、②では120万円儲けた。
分散投資は①では5万円損したけど、②では10万円儲けた。
①も②も「損した額」と「儲かった額」の比率は同じですよね?
もしかすると次の例のほうがわかりやすいかもしれないので
つづいて、③④の例も見てゆきましょう。
③1年間まったく株価は動かず、1年後に株価下落した場合
1月に120万円一括投資してたら13カ月目の暴落株価半値を受けて60万円になるが、時間分散投資をしていも13ヶ月目の暴落で同じ60万円になる。
④1年間まったく株価は動かず、1年後に株価上昇した場合
1月に120万円一括投資していたら13か月目の上昇株価倍で240万円になるが、時間分散投資していても13カ月目には上昇を受けて同じ240万円になる。
はい。
一括投資しようが、分割投資しようが
「損した額」と「儲かった額」の比率は同じでした。
未来のことはわかりませんが、一括投資しようが分割投資しようが
「損する可能性」と「儲かる可能性」の比率は同じです。
質問者さんの例で言う、「100万円一括投資」と「3万円ずつ33ヶ月分散投資」とを比べても、「損する可能性」と「儲かる可能性」の比率は全く同じになりますので、この2つで悩んでも答えは出ません。
現金は超長期で見ればインフレにより目減りしてゆく。
株式インデックスは超長期で見ればその価値は増えてゆく。
という事実がありますので、
だったら、少しでも早く「余裕資金である現金」は「株式(S&P500)」に変えて持っておいたほうがマシ。
という事もありますので、私は一括投資を推します。
また、質問者さんの文面から「米中貿易摩擦による株価下落ダメージを減らしたい」という考えがわかりますので、つづいてこれについて書いてゆきます。
米中貿易摩擦による株価下落ダメージを減らしたい
質問者さんは「購入タイミングを分散させる」「購入タイミングを計る」という事で、米中貿易摩擦による株価下落ダメージを減らそうと考えておられます。
購入タイミングをバラケさせると、株価下落ダメージを減らせるように思えますが、株価上昇のメリットも減ってしまいます。
インデックス投資家が取るべき株価下落対策
インデックス投資家が取るべき株価下落対策は、「低リスク資産比率」(現金比率や債券比率)を高めることです。
・100万円を10回に分けて投資した場合を考えましょう。
1回目10万円を投資して、現金が90万円になった時、この時に「暴落」が来ても多くの人は株式投資自体をやめて(退場して)しまう事はないでしょう。
それは、時間分散投資のメリットではなく、「低リスク資産比率が90%」あるからなのです。
2回目の10万円を投資して、現金が80万円になった時に「暴落」が来たらどうでしょう。
これでも多くの人は退場してしまう事はないでしょう。
「低リスク資産比率が80%」もありますからね。
このように
株式:現金=30万円:70万円になった時に暴落が来たらどうだろう?
40万円:60万円 になったらどうだろう?
50万円:50万円 ならまだ大丈夫かな・・・
株60万円:現金40万円 の時に暴落がきたらチョットイヤだな。
株70万円:現金30万円 の時に暴落が来たら、耐えられないかも・・・
株80万円:現金20万円 の時だったら、絶対無理だな
株90万円:現金10万円 の時なら後悔してもしきれんな
株100万円:現金0 の時に暴落がきたら、それはもう・・・
と考えてみることで、
自分にとって最適な株式比率(現金比率)がわかります。
また、時間分散投資は最初だけ現金比率を高めておくという可笑しな手法だというのもわかります。
自分が耐えられる株式比率のポートフォリオを組んでください。
積み立て投資をず~っと続けていると、積み上げた額に対する「毎月の追加投資額」がどんどんとちっぽけなものになってゆきますので、「一括投資をした」のと同じような感覚になります。
いずれそうなります。
誰しも必ずそうなります。
自分が積立投資を成功させた20年後や30年後に組んでいたいポートフォリオを最初から組んでしまう。
これを私はおすすめします。
私の場合
私は50才になった時には、株式:低リスク資産は50%:50%のポートフォリオを組んでいたいですし
60才になった時には、株40%:低リスク60%のポートフォリオを組んでいたいので、
今現在、株63%:低リスク資産37%のポートフォリオを作ろうとしています。
個人投資家は時間を味方にしよう
私たち個人投資家の強みは「時間」がある事です。
暴落が来て資産が一時的に大幅に減っても「10年以上持っておけば何とかなるんちゃう?」こう考えられるのが、私たち個投資家(インデックス投資家)の強みです。
「同じ比率のポートフォリオを(リバランスして)維持すること」
これが、個人投資家が時間を味方にする方法です。
暴落が来ても、退場しないでいられる程度の株式比率でポートフォリオを組むことをおすすめします。
関連記事
積み立て投資のゴールを「妄想」してみる というのは大事です。
株式比率は「100-年齢」%のポートフォリオを組むのを良いと考えています。
株をいくらで買ったかを気にしすぎていると、インデックス投資(S&P500投資)はやりにくいです。
長々と失礼しました。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
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